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トップの素顔 2005年夏号 Vol.70
 

株式会社コジマ

代表取締役社長 小島 章利 氏
代表取締役社長 小島 章利 氏 小島 章利(こじま・あきとし)
1963年5月栃木県生まれ。創業者である勝平氏の長男。小学校3年生の時の作文で、すでに「父の跡を継いで家電店をやる」と書いたという逸話を持つ。高校・大学時代には、配送などのアルバイトとして、父の仕事を手伝う。1987年東海大学卒業後、コジマ入社。システム室室長などを経て、90年に取締役に就任。91年情報システム本部本部長、93年営業企画本部長、95年常務、98年専務を歴任。2002年4月代表取締役社長に就任する。

収益力の回復を支える
「成功するまで続ける」精神

独自性とねばり強さで、「安値世界一への挑戦」
1990年代後半、家電量販店トップへと上り詰めたコジマ。しかしその成長スピードが逆に、
郊外型大型店の展開などの遅れへとつながり、2002年3月期には後発企業に首位の座を譲る。
そうした最も厳しい状況下で、経営のバトンを受けたのが、小島章利社長である。
今後の巻き返しと、「安値世界一への挑戦」は、すべてその双肩にかかっている。

業界の大転換期に登場した
若き経営者に注目が集まる

  2005年5月、東京・北の丸公園にある日本武道館に、数千もの人を集めて、盛大な催し物が開かれた。同年に創業50周年を迎えたコジマの記念式典である。従業員5,000、来賓者1,600という参加者の数にも驚かされるが、挨拶のため壇上に立った顔ぶれも、壮々たるもの。家電量販店という業態が、わが国の社会および経済の発展に占める比重がいかに大きいかが表れている。
  なかでも、来賓代表として登壇した東芝の西室泰三会長は、戦後日本の繁栄の背景には、電機産業の発展があったと指摘。そのうえで「電機メーカーはお客の要望に沿って製品を作るが、実際に商品を説明して届ける組織がなければ電気製品の成長はなかった」と、家電量販店が担ってきた役割の重さを評価した。
  とはいえ、家電量販店というビジネスモデルが登場し、社会に根付いてからすでに20年近い月日が経った。一方では業界再編も叫ばれ、家電量販店という業態が、大きな曲がり角に立たされていることも確かだ。
  こうした環境の変化とともに、新しい経営者、創業者からバトンを渡された2代目の経営者に、注目が集まっている。コジマを率いる小島章利社長は、その代表。就任したのは大店立地法が施行された直後。それまでトップを走ってきたことが逆に足かせとなって、成長にブレーキがかかっていた時期。いわば起死回生こそが、先代から託された使命だった。
  早速、店舗のスクラップ・アンド・ビルドを進め、人件費や物件費を圧縮。従業員教育にも力を入れ、収益力の回復を成し遂げた。すぐさま大胆な戦略に取り組み、それを確かな成果へと結びつける。その実力は、やはり強力なリーダーシップによって、日本一の家電量販店を築き上げた、先代社長から受け継いだ資質によるものかもしれない。

芸術とスポーツの道を振り切り
日本一を目指した父の姿を追う

  「父は1店舗の時から、『安値日本一への挑戦』をスローガンとして掲げていました。それを目にして過ごしていましたから、私にとっても『日本一』というフレーズは、意識の奥底まで深く浸透していました」と、小島社長は子供の頃を振り返りながら語る。
  幼少の頃はさすがに、普通の子供と同様「パイロットになりたい」とか「サッカー選手になりたい」といった夢を語っていた。しかし、それが小学校3年生になった頃には、すでに「自分は父の跡を継いで、家電店をやるのだ」という意識を持つようになっていた。しかも、店を「日本一」にするという思いを抱いて。
  それを証明するエピソードが、マスコミにもよく取り上げられる作文の一節だ。小島社長が小学校3年生の時に書いたそれには、「お父さんはお店を栃木で一番の電器屋さんにしてください。僕は日本一にします」と書かれていた。
「当時は、宇都宮市内に数店舗出店したところだったので、父が目指すのは栃木で一番。日本で一番は、私が達成するものだと思っていたんです」
  実際コジマは、父の代で売り上げ日本一を達成。小島社長が目指すのは、いったん奪われたその座を、再度取り戻すこととなっている。いや、現在のスローガンが「安値世界一への挑戦」となっていることからすると、目標はさらに大きいのかもしれないが……。
  とはいえ、ここまで目標を明確にするまでには、しばらく時間がかかっている。実は小学校高学年の頃から書道教室と絵画教室に通い、中学2〜3年生の時には、授業で作った彫像を、学校の代表として宇都宮・河内郡地区の芸術祭へ出品。2年連続で特選に選ばれた。
  中学の教師からは両親に、「今から専門的に美術を学ばせるべきだ」という進言もあった。しかし両親は教師に、そのことは本人には内緒にしておいてくれと頼みこんだ。大切な跡継ぎが、ほかの道に進んでは困るという意識があったからだろう。「会社に入ってからようやく、その事実を聞かされました(笑)」というから、教師は約束を守ってくれたわけだ。

画期的なアイデアとねばり強い取り組みで
変革期を乗り越え、世界一へ挑み続ける

  小島社長が子供時代、もうひとつ熱中したのが、サッカーだった。小学5年でサッカークラブに入り、主にディフェンダー(DF)として活躍。「不器用だったけど、集中してやった」というように、練習は朝から放課後遅くまで徹底的に取り組んだ。その結果中学3年の春には、県選抜チームのメンバーにも選ばれた。しかし、「サッカーは自分よりうまい人がたくさんいたから、サッカー選手になろうとは思わなかった」という。
  美術とサッカー。どちらもその道に進むことこそなかったが、そこから学ぶことは数多くあり、それは社会人として、また経営者としての信念にもつながっている。社長室に掲げられている書に、その信念が記されている。「成功するまで続ける」――おとなしかった子供が、サッカーと芸術に出合って「集中してやりとげる」ことを学んだ。その精神を忘れずこれまで、そしてこれからも、仕事に取り組んでいこうという気概が表れた書だ。
  小島社長がトップに立つ前、社員として取り組んできた数々のプロジェクトにも、その精神は如実に表れている。なかでもアップルコンピュータ「Macintosh」の販売は、その代表といえる。
  営業企画本部長に就いた1993年当時、パソコンといえばマニュアルが難解なうえ、基本ソフト(OS)でさえ別売りになっているケースが多かった。そのため、家庭で気軽に使えるものではなく、家電量販店が販売するような商材としては捉えられていなかった。
  そこで小島社長は、マニュアルを薄くして初心者でもわかりやすい言葉にする、取り扱い説明のビデオを添付する、ワープロソフトなどをあらかじめインストールしてすぐに使えるようにする──というアイデアを提案したのである。
  反対する役員もいたが、小島社長には自信があった。そして「成功するまで続ける」の精神で、家庭向けパソコン「Performaコジマ専用モデル」の製造と販売に取り組む。その結果、2カ月で3,000台を売り上げるヒット商品としたのだった。
  ほかにもPOS(販売時点情報管理)システムの導入、GE(ゼネラル・エレクトリック)社の大型冷蔵庫の販売、前面端子付ゲーム向けの14インチ型テレビの企画、メーカーの壁や品目の壁を越えてカラーの統一を図った「コジマフレッシュグレー」シリーズの実現などなど、小島社長は画期的なアイデアで量販店としての役割を次々と広げてきた。そして、その独自性で競合他社との違いをアピールし、売り上げに貢献してきた。
  社長としてトップに立ってからも、果敢な戦略を打ち出している。社長就任時、5年間で店舗統廃合や2,000m2以上の大型化に加え、構造改革をやると決めた。2005年はその3年目。2004年までの2年間で店舗の統廃合はもちろん、物流センターを全国に5カ所設置し、需要予測型自動発注システム(CPFR)も完了させるなど、仕組みを大きく見直した。その結果、各店の荷受け作業は劇的に減り、人件費は約26億円圧縮。1店当たりの商圏を絞ったことで、広告費も約25億円削減。この2年間で売り上げこそ4%減ったが、販売管理費削減額は約60億円に達し、損益分岐点は6ポイントも下がった。結果的に、厳しい競争のなかでも利益を出せる体質を作り上げたわけだ。
「2005年も大型店の出店を20店舗と攻めに転換する。再編、再編といいますが、競争がなくなったらお客さまにはかえってマイナスです。また、チェーンには各々自分の形があるはず。無理な再編でひとつの企業になることがいいとは思いません。コジマは自分のベストを追求することに集中します」
  一見すると、品の良い柔和な印象を受ける。しかしこれまでの実績や、今後の戦略などを聞いていると、その核にあるのは強く固い意志。また、2005年7月には取り扱いタイトル日本最大級(100,000タイトル以上)のDVDソフト専門Eコマースサイト「オンラインコジマソフト」(www.kojima.net)をオープンするなど、常に新しいことへ挑戦する姿勢があり、決めたことには実にねばり強く取り組む。目の奥に潜むのは、経営者として必要な強さだ。そこには、日本一の奪還、そして「安値世界一」の達成も、決して不可能ではないと思わせる輝きがある。



金田石城氏の指導のもと、スローガンをしたためる

 少年時代に抱いた、絵画や書道への情熱も失ってはいない。今も社内には、有名画家の絵画を多く飾り、美術展などにも足を運ぶ。また、年に数回ではあるが、自ら筆を執ることも。片岡鶴太郎氏が師事する、書家・金田石城氏に指導を受けて年1回、その年のスローガンを書く。「金田先生には50周年の記念式典の時に、巨大な筆で『感謝』の2文字を、その場で書いていただきました。




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