CONTENTS on line vol.85 2009 ★ SPRING  

株式会社遠藤製作所 トップが語る! わが社の未来

比類なき鍛造技術を軸に市場が求める製品を創出し
新市場を切り拓く金属加工メーカー株式会社遠藤製作所[7841] 小林 健治 代表取締役社長株式会社遠藤製作所[7841] 小林 健治 代表取締役社長

ミシン部品製造からスタートし、金属加工技術を軸に、さまざまな金属製品の製造を展開してきた遠藤製作所。現在は、ゴルフクラブ鍛造ヘッドのOEM生産を主力に、自動車等鍛造部品、プリンターなどで使用されるステンレス製極薄管の製造を事業展開。「技術は手段、顧客ニーズに合わせて、時には既存の技術に固執しないことで、新たな価値ある製品を市場に送りこむ」と語る小林社長に話しを聞いた。

1947年新潟県生まれ。63年に遠藤製作所に入社、技術畑を歩み、84年に取締役就任、90年常務、96年副社長を経て、2000年に代表取締役社長に就任。長身と恵まれた体躯でゴルフはシングルプレーヤーの腕前。


品質・納期・コストすべての面で市場を意識した製品を製造する

ゴルフクラブのアイアンヘッドをはじめ、鍛造4ピース製法によるウッドヘッドが高い評価を獲得しているほか、自動車等鍛造部品や、プリンターなどに使われるメタルスリーブ(ステンレス製極薄管)の受注が拡大を続けている遠藤製作所。独自の鍛造技術を余すところなく発揮するために、金型製造までを自社で行う独自の存在として、高品質な製品を提供しつづけている。

「当社の製品は、部品がメインです。多くの部品メーカーでは、最終完成品をイメージして部品を製造するのではなく、部品としての完成品をイメージします。当社はゴルフクラブのヘッドという部品からスタートして、今では自社でクラブの完成品を手がけるまでになりました。その過程で、『優れたクラブ(=最終完成品)を作るには』、鍛造はどうあるべきか、そのための金型はどうあるべきか、と工程をさかのぼってさまざまな工夫をしてきました。一般的に、鍛造部品を作る場合は、鍛造を担う企業と、鍛造に用いる金型を製造する企業というように役割分担しています。それぞれ確立された技術がありますから、それは強みですが、『最終的にこの部品がどの製品の一部として使われるのか』という意識をすべての製造工程で共有して改善できなければ、本当に優れた部品にはなりません。当社では、『今ある鍛造技術をどう使うか』ではなく、『いかによい最終製品を作るか』を最大の目的に、自社で金型の製造にも取り組んできました。大変ハードルの高い挑戦でしたが、おのずと仕上がりの品質が変わりました。また、鍛造後に研磨などの後工程を必要としない、いかに鍛造の時点で完成品に近い精度を確保するか、『加工レス』を合言葉とした技術開発を行い、効率化に努めています。鍛造だけでなく、材料歩留まりや消耗度合い、使い勝手の良さなどを含め、金型の技術革新も進めています。巧みの技を磨きながら、それをいつでも、誰でもが作れる体制を整備。鍛えた職人技を、いつも大量に工場から出荷できなくては意味がないのです」(小林社長。以下、コメントすべて同じ)

完成品は市場で必ず、品質だけでなく、コスト面やサービス面において激しい競争に巻き込まれる。だからこそ、部品製造においても、そうした視点を持つ必要があると小林社長は語る。高い技術が要求される製造品ほど、作り手の都合が優先されることが多くなりがちだ。しかし、今やそんなことを言えば、即、不要な存在になる。

「製造業でも、使う人――当社の場合は、部品を使って最終製品を作るメーカーなど――のニーズを具現化する部品を提供する、つまり製造業もサービス業であるという観点が不可欠です。そうした意識が行き届いている、それが当社の最大の強みでしょう」

具体的には、金型を100%内製化している世界にも類を見ないビジネスモデルを構築していること、多数のプレス機を揃えていることなどだ。その都度、特注金型をすぐに製造できるため、短納期・小ロットで顧客のニーズに迅速に応えることができる。

主力事業・ゴルフ鍛造クラブの製造拠点をタイへ移管

"FORGED(=鍛造)"の刻印がある国内アイアンの70%以上が遠藤製作所から生み出されたものだ
"FORGED(=鍛造)"の刻印がある国内アイアンの70%以上が遠藤製作所から生み出されたものだ

遠藤製作所の鍛造技術は、ゴルフ界に新しい風を吹き込んだ。従来、プロユースといわれるマッスルバックやプレーンバックと呼ばれるアイアンクラブは鍛造、一般的に使われるキャビティバックは鋳造という棲み分けがあった。しかし、遠藤製作所の鍛造技術は、複雑に抉れるキャビティアイアンをも一発鍛造製造することを可能にしたのだ。

「当社が確立した鍛造技術により、キャビティバックも鍛造製造が主流となりつつあります。さらに、バネ性の強い材料をフェースで使用したり、比重が重いタングステンを用いて重心を下げるなど、金属ハイブリッドのアイアンが増えていますが、当社の鍛造技術はハイブリッドモデルも一発製造することが可能です。こうした鍛造技術の精度の高さを武器に、全世界のニーズに対応すべく、グローバル展開を進めています。ウッドクラブヘッドについても、鍛造4ピース製法が市場から高い評価をいただいており、早期に月産10万個体制を確立することを目指しています」

さらに1996年からタイで稼働している自動車鍛造部品の製造拠点に、ゴルフクラブの鍛造も集約する計画だ。

「従来、アイアンは日本で製造してきましたが、当社の製品は、日本国内だけでなく、世界中で使われています。リードタイムとコストの圧縮を図るため、タイの製造拠点へシフトする計画を進めています。今後は、金型設計や加工などの技術開発は日本、量産に関わる開発や試作も含め、製造はタイという棲み分けをする計画です」

技術面や管理面においても、タイの製造拠点が十分対応できるまでに成長してきたことで、さらなる事業進化につなげることができそうだ。事実、タイの自動車等鍛造部品工場は順調に事業を拡大してきている。

「日本国内を含め、世界的に自動車製造事業が失速しているなか、タイに製造拠点を移す自動車メーカーが増えています。また、パーツ製造自体を日本からタイへシフトするという動きもあり、世界的な自動車市場の落ち込みに比べ、当社の事業は影響が少なくて済むと見ています。また、アジア向けの農機具用部品製造が順調に軌道に乗り、量産開始に向け、着々と準備が進んでいます」

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