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貴金属投資の現在をめぐる座談会 第2弾

TALK

意識の高い投資家は
貴金属に関心を持っている

林 繁樹

林 繁樹
Shigeki Hayashi
野村證券

池水 雄一

池水 雄一
Yuichi Ikemizu
日本貴金属マーケット協会
代表理事

林 恒

林 恒
Hisashi Hayashi
三菱UFJ信託銀行

ETF(上場投資信託)を使えば、株式のように貴金属を売買できることをご存じでしょうか。
先の見えぬこの時代、貴金属を資産配分の1つに考える投資家が増えています。
そこで、貴金属のスペシャリストである池水雄一氏を識者として迎え、
投資対象としての貴金属の特徴と魅力について、大いに語っていただきました。

目次

史上最高値を付けた金とパラジウム

林 繁樹氏

一般投資家にとって、貴金属投資というと、金やプラチナがイメージしやすいと思います。特に金は、2019年に国内価格で40年来の高値を付けたことが話題になりました。一方で、パラジウムの値上がりも目を見張るものがあり、一般投資家にとって馴染みのない貴金属にも注目が集まっています。そんな状況のなか、一般投資家が貴金属投資を理解するためのポイントはどこにあるとお考えですか?

池水氏

たしかに一般投資家の方の注目は、2020年になっても最高値を更新している金とパラジウムに集中しています。どちらも価格が上昇しているという点では同じなのですが、その背景はまったく異なるものだと考えています。そこが貴金属投資のおもしろい点ですね。

まず金についてですが、これはトランプ政権の政策や大統領選の行方、イラン問題などいろいろな地政学的な不安定要素、そしてここに来て新型コロナウイルスなど、さまざまな不安要因のヘッジとして、投資家の資金が集まっていることが追い風になっています。一方、パラジウムはまったく逆で、純粋に実需が高値の要因です。

池水氏

林 恒氏

パラジウム相場においては、投資家の影響はほとんどないとお考えでしょうか?

池水氏

はい、そう考えています。一般投資家が参入しにくいという事情もありますし、先物取引のパラジウムの取引残高を見ても、目立った取引量はありません。ETFも同様です。パラジウムは過去10年来ずっと、需要に対して供給が足りない状況が続いています。供給を増やすか需要を減らさない限り、この需給ギャップの問題は解決できません。しかし、僕が見る限りどちらも難しい状況なので、パラジウムは今後も価格上昇が続くと考えています。

林 恒氏

林 繁樹氏

金とパラジウムへの投資はまったく別物として、プラチナやシルバーはどのように考えるべきでしょうか。

池水氏

先ほどもお話ししたとおり、金には投資家の資金が集まっています。貴金属4種のなかで、金だけが特別なのです。プラチナ、パラジウム、シルバーは、そのほとんどが工業用です。プラチナやパラジウムは約80~90%、シルバーでも約60%が工業用の需要で占められています。対して、金は10%あるかないかで、残りの約90%の需要は、宝飾、投資需要、中央銀行の購入です。“金は投資家のメタル、その他のメタルは産業のメタル”と考えていいでしょう。

各貴金属の需要内訳

(出所)GFMS GOLD SURVEY 2019、GFMS PGM SURVEY 2019などを基に野村IR作成

金の動きに、かつてない変化が

林 繁樹氏

なぜ、金価格はこれほど上昇したのでしょう? 今までは「有事の金」や「リスクオフの金」と言われていましたが、最近では株式市場が上昇している時でも、金価格は上がっていますよね!

池水氏

新型コロナウイルスの影響で今後の株価は見通しづらくなっていますが、ニューヨークの株式指数が高値を付けるなかで、金の価格も上がるという2019年までの状況は、歴史的に見てもあまりないと思います。こうした金の高値の要因として、先ほどもお話しした地政学的な問題や新型コロナウイルスなどの不安要因があるのはたしかです。しかし、最も根底にあるのが金融情勢ではないでしょうか。各国の中央銀行が行っている低金利政策による貨幣価値の下落が、金などの実物資産に流れ込んできているのです。一時期、金利を上げていたFRB(米国連邦準備制度理事会)も、2019年7月に引き下げに転じたのは、非常にエポックメイキングな出来事だと思いますね。

林 恒氏

円建てによる40年ぶりの金の高値という状況も、大きなことだと思います。個人的には、やっとという感じです。これまでは、金の国際価格は上がっているけれど為替は円高になるというパターンで、国内金価格は一進一退でした。

池水氏

日本の財政状況やさまざまな要因を鑑みて、いずれ日本は円安になるものと考えています。円安に移行するシナリオに加え、市場が金融引き締めに大きく動かない限り金が上がり続けるだろうということを考えると、円建ての金を持っているのは正解でしょうね。

パラジウム価格が上がり続ける理由

林 繁樹氏

パラジウムの値上がりが続くと予想される要因を、もう少し詳しく教えていただけますか?

池水氏

パラジウムの約80%が、ガソリン車の排ガス規制の触媒として使われています。販売は徐々に減ってきてはいますが、現状では、売れているのはまだまだガソリン車なのです。EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)は、ガソリン車に比べればまだまだ販売量は少ないんですね。

林 繁樹氏

では、ガソリン車の販売台数が増えれば増えるほど、需給が締まるようなイメージでしょうか? あるいは、排ガス規制が厳しくなると、パラジウムの需要が増えるのですか?

池水氏

池水氏

後者のほうが近いでしょうね。世界一の自動車市場である中国では、2019年には自動車の販売台数は減っています。ところが、触媒の使用量は増えているのです。それは、環境規制がどんどん厳しくなっているからなのです。わかりやすい例を挙げると、1990年の自動車の売り上げを1、触媒の使用量を1とすると、2018年の終わりで自動車の売り上げは約1.7倍に伸びたんですね。それに対して、触媒の使用量は約5.8倍に増加しているのです。

林 恒氏

すごい増加率ですね。では、今後の二酸化炭素の排出制限の動向が、パラジウムの需要に多分に影響を及ぼすと考えていいのですね。自動車の環境性能を上げるためには、よりパラジウムが必要になってくると・・・。

池水氏

そのとおりです。中国政府は欧州基準を参考にした自動車排ガス規制を2001年から施行していて、2019年からさらに、排ガス規制が厳しくなっています。

林 繁樹氏

パラジウムの生産を増やすことはできないのですか?

林 繁樹氏

池水氏

それが難しいのです。ほとんどのパラジウムは、ロシアと南アフリカで生産されているのですが、ロシアではニッケルの副産物、南アフリカではプラチナの副産物として生産されています。つまり、どちらの国の鉱山もパラジウムの生産をコントロールできないということです。需要と供給のアンバランスが解決されない以上、パラジウムは今後も上がり続けるしかないのではないでしょうか。

林 繁樹氏

「『金の果実』シリーズ」(証券コード1540~1543)で、パラジウム価格に連動するように作られたETF(上場投資信託)の「パラジウムの果実」(証券コード1543)があることの意味は非常に大きいですね。

水素社会の到来で、プラチナ復権も

林 繁樹氏

プラチナとパラジウムの価格が逆転していますが、今後、プラチナの価格が上がる可能性はあるのでしょうか。

池水氏

プラチナはパラジウムと比べて、内的価値は圧倒的に高いはずなのです。排ガス規制の触媒としても性能が高く、宝飾品としても需要がある。現在、パラジウムとの価格が逆転してしまっているのは、ひとえに、プラチナは販売が減少しているディーゼル車の触媒として使われ、パラジウムはガソリン車の触媒に使われているからなのです。

林 恒氏

2018~2019年の価格が、プラチナのグレートボトム(大底)と考えますが、いかがですか?

池水氏

そうですね。1トロイオンス当たり約800ドル。そこがボトムだと思います。ただ、900ドル以下になってしまうと、生産コストを下回ってしまうため、長期的に考えると900ドルからは大きく下がらないと思います。

池水氏×恒氏

そのなかで、プラチナの明るい材料として第一に挙げられるのは、FCV(燃料電池自動車)です。次世代自動車は、EV(電気自動車)が圧倒的に脚光を浴びてきましたが、最近ちょっと流れが変わってきました。特にあれだけEVに力を入れていた中国が、2019年に補助金を削減したのです。代わりにFCVに力を入れるようになりました。FCVは、ディーゼル車に比べてプラチナを約10倍も必要とします。もし今後、FCVがどんどん広がっていくならば、プラチナにとって非常に大きなメリットがもたらされます。

林 繁樹氏

では、FCVの普及によって、現在のパラジウムのように需給のアンバランスが起こることもありうるとお考えでしょうか?

池水氏

そうなるためには、よほどFCVが売れなければいけません。FCVの製造コストはまだまだ高いですから。ただ、2019年の国連総会で、安倍首相がこれからの日本は水素を社会のエネルギーにしていくと、スピーチしたのです。僕はこの発言は、非常にいいサインだと思っています。

割安感のあるシルバー

林 繁樹氏

高騰する金とパラジウム、大きく割安感のあるプラチナと同様に、シルバーも割安なイメージがありますよね?

池水氏

金の価格と比べると、最近はほぼ90分の1ですからね。歴史的に見ても最安値なのではないでしょうか。しかし、その安さが魅力であるともいえます。

林 繁樹氏

シルバーはプラチナのように採掘コストというか、下値のメドというのはあるのですか?

池水氏

シルバーは貴金属というよりベースメタルに近いもので、採掘量も多い。当然、採掘コストが安いので、下値メドがあるとは聞いたことがないですね。ペルー、メキシコ、オーストラリアで大量に採れますから。

林 恒氏

そういう意味では、やはり金とシルバーの比価(価格を比較した際の価格比)が目安になりますね。シルバーは基本的にゴールドに似た動きをすると考えられますから、金との比価があまりに広がれば、買われることもあるかもしれませんね。

池水氏

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットといった大富豪が買い占めることもあるなど、ときどき大きく価格が動く点も見逃せません。

金銀比価の推移

※過去の実績は将来を保証するものではありません
(出所)QUICKデータを基に野村IR作成

さまざまな果実を味わうには?

林 繁樹氏

現在のような歴史的にあまり経験のない貴金属の相場のなかで、一般投資家はどのように貴金属に投資すればいいのか、迷うことはありませんか?

池水氏

過去の相場を知っている方たちは、金をはじめとして高等している現在の相場では手が出しにくいと思うかもしれません。しかし、若い人たちにとっては、過去の相場は関係ないですからね。現在の状況をよく知ることが大切なのです。最近では、僕のセミナーも若い方の参加が多くなってきました。自分の力で資産形成をしていこうという意識の高いシングルの方も多いです。そういう方たちは、確実に貴金属投資にも興味を持っていますね。株式や貴金属を持つと、いろいろな情報に敏感になりますからね。そうすると、今まで見えていなかった社会の姿がその人なりに見えてくるようになるはずです。

林 繁樹氏

こうして改めて見てみると、貴金属によって、さまざまな違いがあることがわかりますね。

林 恒氏

資産運用という観点から、最後にまとめるとどんな感じでしょうか?

池水氏

僕はあくまで、マーケットが成熟し、流動性も高い金は分散投資の対象だと思います。王道は金ですが、一部パラジウムを買ってみるとか、そういう資産形成の仕方も可能ですね。

林 恒氏

ありがとうございます。証券コード1540~1543の「金の果実」シリーズは、金、プラチナ、シルバー、パラジウムの4種類の貴金属をETFで一口から購入できます。私は「フルーツのバスケット買い」ならぬ、さまざまな果実を味わえるフルーツパフェになぞらえることができるのではないでしょうか。一般投資家の皆さまの資産形成の状況や、考え方に合わせて、色々と選択ができると思いますので、ぜひご検討いただけましたらうれしいですね。

集合写真

池水 雄一(写真:左)

一般社団法人 日本貴金属マーケット協会 代表理事
貴金属スペシャリスト

林 恒(写真:中)

三菱UFJ信託銀行株式会社
証券代行部 海外業務推進室 調査役

林 繁樹(写真:右)

野村證券株式会社
エクイティ・マーケティング部 リテール・マーケティング一課 エグゼクティブ・ディレクター

>>貴金属投資の現在をめぐる座談会 第1弾を読む

貴金属ETFの決定版!「金の果実」シリーズ

三菱UFJ信託銀行の「金の果実」シリーズは、金、プラチナ、銀、パラジウムを対象とした4つのETF(上場投資信託)の総称です。いずれも三菱商事が貴金属を拠出し、三菱UFJ信託銀行が貴金属現物を信託財産として国内に保管、その受益権を東京証券取引所に上場しています。一般の株式と同じく、証券会社を通して1口(数千円程度)から手軽に売買できるほか、特定口座やNISA*、信用取引制度も利用できるなど、優れた利便性があります。 店頭または電話で取引する場合は、証券コード(「金の果実」なら1540)と口数を伝えるだけ。また、ネット注文であれば、自宅にいながらパソコンやスマートフォンで機動的に取引することが可能です。

*つみたてNISAは対象外

「金の果実」シリーズは、貴金属の現物を裏付けとし、貴金属の現物価格に連動するように作られたETFです。2010年7月に東証に上場して以来、シリーズ4商品とも着実に純資産残高を増やしつづけており、定番銘柄である「金の果実 証券コード1540」の売買代金のシェアは、日本の金ETFの8割を超えています(2020年2月末日現在)。
このように快進撃を続ける「金の果実」シリーズの貴金属ETF4商品をご紹介しましょう。

証券コード、商品名、【愛称】 チェックポイント
1540
純金上場信託
(現物国内保管型)
【金の果実】
シリーズNo.1の人気銘柄。国内に上場する金ETF5銘柄のなかで売買代金シェアは80%以上(2020年2月)。分散投資銘柄として定着しつつあり、残高も増加傾向。流動性が高く、情報量が多いため、貴金属投資が初めての方も安心です。
1541
純プラチナ上場信託
(現物国内保管型)
【プラチナの果実】
欧州ではディーゼル自動車の排ガス浄化用触媒向けが主流のプラチナですが、日本では宝飾品などで馴染みのある存在。近年は金より安価になったことで注目度が増し、純資産残高も2015年から2016年にかけて急増しています。
1542
純銀上場信託
(現物国内保管型)
【銀の果実】
工業用貴金属として、太陽光発電などで活用されている一方、宝飾品やコインとしても根強い人気を誇る銀。長期的に見ると、金と似た値動きをすることが多いものの、金より価格が安く気軽に手に入ることから「貧者の金」として根強い人気があります。
 
1543
純パラジウム上場信託
(現物国内保管型)
【パラジウムの果実】
市場人気が続くパラジウム。ETF、純金積立、金貨、金地金と選択肢が豊富な金と対照的に、「パラジウムの果実」は競合する商品が、専門性の高い先物しかありません。ガソリン自動車の排ガス浄化用触媒に使われるため経済・産業の動向は要チェックです。

投資にかかるリスクについて
本商品のリスクには、貴金属地金価格に連動することによる価格変動リスク、信用リスク、流動性リスクなどがあります。これらのリスク要因により本商品の価格が変動し、その結果、投資元本を損なう可能性があります。なお、本商品のリスクは上記に限定されるものではありません。

本商品にかかる手数料・費用について
本商品を売買する際は、取扱いの金融商品取引業者の定める売買手数料がかかります。貴金属現物との転換(交換)には所定の手数料がかかります。信託報酬※・監査費用その他の費用が信託財産にかかります。これらは、運用の状況等によって変動するため、上限を示すことができません。詳しくは〝金の果実〞専用ホームページをご参照下さい。
※ 純金上場信託は0.440%(税込)、純プラチナ/純銀/純パラジウム上場信託は0.550%(税込)です(2020年2月29日現在)。

ご注意下さい
貴金属現物への転換(交換)は、小口転換取扱証券会社(小口指定転換販売会社)のみで行っております。転換(交換)には所定の条件があります。詳しくは〝金の果実〞専用ホームページをご参照下さい。

ご留意事項
本商品は、預金等や保険契約とは異なり、投資元本の保証はありません。本商品の運用により信託財産に生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。本商品は「預金保険制度」の対象ではありません。金融商品取引業者(証券会社)以外の金融機関で購入された場合、投資者保護基金の支払い対象となりません。本商品は、販売会社がお申込みの取扱いを行います。本商品の売買を行われるに際しては、予め、お取引先の金融商品取引業者等により交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質・取引の仕組み、リスクの存在、手数料、信託報酬等の費用等を十分にご理解いただいた上で、ご自身でご判断下さい。本商品は書面による契約の解除(クーリング・オフ)の適用はありません。本商品は、内国商品現物型ETFであり、投資信託ではありません。

三菱UFJ信託銀行株式会社
登録金融機関 関東財務局長(登金)第33号
加入協会/日本証券業協会、一般社団 法人金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会

さらに詳しく知るには、「金の果実」専用サイトをチェック
https://kikinzoku.tr.mufg.jp/ja/gold.html