![株式会社ユーシン精機[6482] 代表取締役社長 小谷 眞由美](images/vol83/img01_04.gif)


1947年1月、高知県生まれ。69年3月帝国女子大学(現・大阪国際大学)家政学部を卒業し、73年10月ユーシン精機入社。82年10月取締役、89年2月副社長就任。93年3月には、営業本部長を兼任する。2002年12月代表取締役社長に就任して以来、経営の舵取りを担う。現在は、京都経済同友会副代表幹事のほか、日本ロボット工業会理事、京都市産業科学技術推進委員会委員などの公職を務める。
トップのアグレッシブな姿勢で最高益を更新
個性派揃いの京都のハイテク企業のなかでも、ひときわ強い存在感を示すユーシン精機。トップが女性だからということだけでなく、そのアグレッシブな姿勢が人目を引くのである。設立から35年、社長就任から6年。順調に業績を伸ばし、売上高200億円台を突破し、ますます注目を集めている。多趣味な私生活にも興味が集まる小谷眞由美社長の素顔に迫る。
「これから」の製品、取出ロボットで業界トップを誇る
日本の古都・京都は、今や世界に名を響かせるハイテク企業を数多く輩出する地域として知られる。ユーシン精機も、そんな企業のひとつで、プラスチック成形品取出ロボットメーカーとして、業界ナンバーワンの地位を誇っている。
「プラスチック成形品取出ロボット」と聞いて、ピンと来る人は少ないかもしれないが、あらゆるところにプラスチック製品が使われている現代にあって、なくてはならない機械だ。
プラスチックは、熱や圧力を加えることによって自由に成形加工ができるという特性を持っているが、この特性を利用した成形方法のひとつが「射出成形」。高温で溶かしたプラスチックを金型に注入した後、冷却して成形品を製造する。今やプラスチック成形品のおよそ3分の2が、この方法で作られているといわれている。
この射出成形で作られた製品を、金型から取り出す作業を行うのが、「取出ロボット」であり、現在ではほとんどの射出成形機に搭載されている。その働きも成形品を金型から取り出すだけでなく、後工程機への受け渡しや、出荷用のコンテナ、段ボールへのストックというように、さらにその機能を広げつつある。
「取出ロボットは競争の激しい市場ですが、世界的に見ると普及率はまだまだ低い。いわば、これからの製品といっても過言ではありません」と、2008年機械工業デザイン賞の「日本ロボット工業会賞」を同社の射出成形機用取出ロボット「RA・-α-150-DW」が受賞した際の会見で、小谷眞由美社長は語っている。
設立35年という年月を経て、今なお「これから」という前向きな姿勢には、ある意味驚かされる。そのおっとりとした上品な話しぶりとアグレッシブな姿勢の絶妙なバランスも、小谷社長のひとつの魅力となっている。
図書館での本の貸出数は いつもトップクラス
好奇心いっぱいの少女
「高知県の西端で、海軍の将校だった父と芸事が好きな母の間に生まれました。そんな母の影響で、幼少の頃からいろんな習い事をさせてもらいました」という言葉通り、日本舞踊、茶道、箏曲、その他のけいこに励んだ。
学業は理系、なかでも数字が好きで、とにかく「楽しくて、大好きな科目」だった。その原動力は、すべて「知らないことを知りたい」という好奇心に由来している。図書館の本の貸出トップテンに、常に名を連ねていたというほど、知識欲にあふれていたのである。
しかし、その一方で、陸上競技の選手としても活躍するような活発さも兼ね備えていた。
「1月に生まれて、その年の8月にはもう泳いでいたというくらいですから、根っから水泳好き。結婚11年目にして初めて授かった子供ということで、両親にはとてもかわいがられ、何でもやらせてもらえました」
そんな少女は、自然に友人の間ではいつも先頭に立ち、リーダーシップを発揮していたという。
数学が好きだったから 図面への抵抗もなし
創業者である夫の故小谷進氏とは創業前に知人を介して知り合った。小さな町工場で製品の開発に取り組む夫を見て、一緒にやれる人がいるといいだろうと感じ、結婚してからは営業担当役として二人三脚でやってきた。
ただ、最初から営業ができると思って始めたわけではなかった。「夫からあなたならできると乗せられて、それならばと始めただけ。環境に育てられたといったほうがいいかもしれません」と言う。
扱う製品はかなり専門性の高い分野だけに、知識が追いつくかという心配もある。この点については、「数学が好きだったからか、図面を見るだけで、その意味するところは、何となくわかりました」というように、たいへんだった、苦労したというネガティブな言葉は聞かれない。「楽天的」というのが自己評価だが、楽天的だからこそ困難に動じず、自然体で乗り越えることができたのだろう。
「何か問題が起きれば、そりゃあ落ち込みます。しかも、落ち込む時は人の何倍も落ち込むのですが、何とかしてやろうといったん決めてしまえば、走り出すのは早い」と言う。
そもそも問題に立ち向かうと、それをいかに解決するか、その方策を考えることに夢中になるタイプ。専門家に話を聞くために、遠方まで足を運ぶこともいとわない。
「それだけ熱中していても、問題が解決してしまうと、すぐに忘れてしまい、 次の問題が見えてくる。だから、休む間がありません」と笑う。
小谷社長が夫とともに創業当時からユーシン精機を育て、ここまでの成長を遂げられたのは、「やり続けたから」だと語る。確かに、成功するまでやり続ければ失敗はない。おっとりした性格だからこそか、決してあきらめず、とにかく地道に粘り強く仕事に取り組んできた。その成果が今のユーシン精機を作っているのである。






