
いつも自由にものを言い やりたいことをやってきた
そこで学んだ『3C』のトライアングル
入社後の作田社長は、「われわれ」のひとりである「自分」のために、言いたいことを言い、やりたいことをやった。例えば、入社3年目で中央研究所から営業部門への異動を希望。自分で直接、顧客の要望を聞きたかったという。
一般的な企業の論理からいえば、それなりの人事政策にのっとって、せっかく工学部出身者を採用したのに、一人前になる前に畑違いのところへ移るなんて……と却下されて当然だろう。それが、オムロンでは「これがやりたい」という意思をしっかり伝えれば意外にもすんなりと認められ、希望の仕事に就くことができた。
「もともとエンジニアを志望していた私にとって、いくら自ら希望したこととはいえ、営業部門に移った当初は、やはり商品を売ることに対する若干の戸惑いがありました。果たして私に勤まるのか。でも自分で選んだ道、ここでがんばるしかない」
そんな気持ちでスタートをきった営業活動であったが、ある時、不安でモヤモヤしていた気持ちが霧が晴れるようにスッと消えた。 「お客さまと直接お会いして、一体どんな商売をし、どんなことで悩んでいるのか、オムロンにどうしてほしいと思っているのか。そんなことを察知し、的確に対応した時、お客さまに心底喜んでいただけた。この時初めて営業のおもしろさを知りました」
この体験から作田社長は『3C』のトライアングルを学ぶ。
「会社のビジネスドメインは、お客さま(Customer)と競争相手(Competitor)、そして自社(Own Company)という『3C』のトライアングルで決まるんです。お客さまや競争相手が変われば事業ドメインも変わる。これは当然の理です。したがって、オムロンの『3C』を考えるのは当たり前ですが、それに加えてお客さまの『3C』も同時に考える必要があります」
81年からは、5年間にわたり米国に駐在する。最初の4年間は、通信と家電という領域を、最後の1年は自動車をターゲットに、マーケットの開拓を進めた。特に自動車業界へは、巨人GM(ゼネラル・モーターズ社)に見事、調達メーカーとして認めさせた。672億円(2006年度実績)という自動車関連製品の海外売上高の礎を築いたといっても過言ではない。
こうした経験から、作田社長は部下たちにも、「自らの意思で、自ら考え、自ら行動する」との訓示を述べる。
「職場や立場は役割として割り当てられるかもしれないが、そこに『たとえどんな状況下であってもやり遂げるんだ』という意思を持つことができれば、仕事はおもしろくなるはず」
この「自らの意思こそが重要」という作田社長の考えは、オムロンに根づくユニークな風土のなかで育まれたものといえる。







