![特別企画 セメント事業から産まれたもうひとつの経営資源
長期的な視点に立った資源会社としての事業戦略
住友大阪セメント株式会社[5232]](images/vol83/5232_01.jpg)
セメントは、建築土木などのインフラ整備に欠かせない基礎資材である。天然資源のほとんどを輸入に頼っているわが国で、このセメントの主原料である石灰石が、自給自足可能であることは意外に知られていない。
石灰石は、数億年前の珊瑚礁などが、長い歳月の間に岩石となり、その後、陸地に出現したものといわれ、日本列島に広く分布している。石灰石の主成分は、炭酸カルシウム(CaCO3)で、セメントの原料として使用されるほか、鉄鋼・化学向けや生コン用骨材など幅広い用途に利用されている。
石灰石は、セメントの製造に欠かせないことから、セメント会社の多くは、工場に隣接して石灰石の鉱山を保有し、自社で石灰石を採掘してきた。
住友大阪セメントでは、現在全国8カ所の鉱山で石灰石を年間約1600万t採掘している。なかでも、1965年から操業を開始した山口県秋芳鉱山は、国内有数の大型鉱山として知られる。16・5kmの長距離ベルトコンベアで内陸部の石灰石を日本海側の積出港(仙崎港)まで輸送し、自社セメント工場や数多くのユーザーに年間800万tの石灰石を供給している。
また、北九州では当社の小倉鉱山に隣接する三菱マテリアル[5711]の東谷鉱山と共同開発事業を進めている。互いに共同開発することで双方にまたがる約3億tの石灰石を含む総合的な石灰石資源の活用を図るものであり、2011年度からの採掘を目指している。これにより、内陸の小倉鉱山は臨海鉱山の形となり(三菱マテリアルのベルトコンベア利用)、仙崎港バースに加え苅田港バースも活用できるようになる。すなわち、自社セメント工場への安定供給化と三菱マテリアルへもセメント原料用石灰石の供給が図れることになる。このように、住友大阪セメントは、セメントメーカーであるとともに、豊富な石灰石資源を有する「資源会社」という側面も持っている。資源会社=鉱産品事業という視点から見れば、セメント会社も需要の多い“1ユーザー”ということになる。資源会社として、長期的な経営戦略を持ち、多様なニーズに対応するため、貴重な資源の付加価値をより高め、有効に活用していくことが求められている。
秋芳鉱山
一般にセメントに使われる石灰石は、炭酸カルシウム比率90%以上が望ましいとされる。これに対し、秋芳鉱山の石灰石は炭酸カルシウム比率が99%で、特にリン、硫黄などの不純物がきわめて少なく、鉄鋼・化学向けに最適の品質である。製鉄に使用される石灰石は、製鉄所の高炉に鉄鉱石やコークスとともに投入され、鉄原料中の不純物と化合してスラグを作り、高炉で銑鉄から分離・除去される。秋芳鉱山の石灰石は、国内の大手鉄鋼メーカーや海外にも輸出されている。日本の製鉄の品質が高いのは、ひとつには副原料の石灰石の品質が優れているからといわれるほどだ。
秋芳鉱山が保有する鉱区の採掘可能量は約40億tで、現在の年間800万tの生産量から見れば、すべて掘り尽くすのに500年かかる計算だ。もちろん今後の開発には環境との調和ほか、多くの課題を克服していかなければならない。
現在採掘中の第2鉱画はあと10年は採掘できるが、長期的な安定供給のために新たに第3鉱画を開発中であり、2009年度から採掘が始まる。当分は、第2、第3鉱画の並行操業となり、2024年頃から第3鉱画単独での操業となる。第2、第3鉱画を合わせた獲得鉱量は約4億tで50年分の供給体制が整うことになる。
高品質の石灰石を資産としてこれだけ大量に保有し、長期間にわたり供給することができる資源会社としての顔も持っていることも、住友大阪セメントの大きな強みである。









