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CONTENTS on line vol.83 2008 ★ Autumn  

特別企画 徹底解剖! 旭化成の未来を読み解く5つのキーワード

旭化成株式会社[3407]

「旭化成」ときいて「サランラップ」や「へーベルハウス」「ベンベルグ」などが思い浮かぶ方は多いだろう。しかし、これらの顔は、旭化成のほんの一部にすぎない。現在の旭化成は、高機能ケミカルやエレクトロニクス、医療機器といった分野において、世界的にポジションの高い事業を数多く展開している。グローバル型事業の拡大・創出、国内型事業の高度化により、力強い成長を遂げる今日の旭化成。その姿を象徴する5つのキーワードから旭化成の未来を読み解く。

現在、旭化成は、2010年を最終年度とする中期経営計画「Growth Action - 2010」を進めている。多様な市場と多彩な技術に基づいて多面的な事業モデルを展開してきた旭化成は、安定成長・基盤事業の強化を図りながら、経営資源を高成長追求事業に投入し、事業ポートフォリオの転換を図りつつある。
なかでも注目されているのが、「高成長追求事業」に位置付けられる事業領域について、積極的な拡大・成長戦略をとっている点だ。
「高成長追求事業」とは、リチウムイオン2次電池用セパレータ「ハイポア」や大量水処理用精密ろ過膜「マイクローザ」といった高機能ケミカル、独自の競争力を持つ電子部品や電子材料といったエレクトロニクス、人工腎臓に代表される医療機器事業など、今後高い成長が期待されるもの。
旭化成は年間700億〜800億円の通常の投資に加えて、これらの高成長追求分野を中心に、2010年度までに、M&Aを含む4000億円の投資を追加で実施する計画だという。
2006〜2010年度までの5年間で、総額8000億円もの投資を予定している。
最終年度である2010年度に連結売上高1兆8000億円、同営業利益1500億円、自己資本利益率(ROE)10%以上を目指す旭化成。現在から未来につながる成長の鍵となる5つのキーワードを読み解いていこう。

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リチウムイオン2次電池用セパレータ「ハイポア」
 

リチウムイオン2次電池の分解図と「ハイポア」※クリックで画像拡大

リチウムイオン2次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラなどのIT機器に搭載される充電式電池だ。軽くて、同じ容量でもたくさんの電気を貯めることができることから年々そのニーズは高まる一方である。
旭化成はこのリチウムイオン2次電池で使われる「ハイポア」というセパレータ(絶縁膜)を手がけている。
「ハイポア」は、旭化成の強みであるろ過膜技術を応用したフィルム状の微多孔膜。電池のプラス極とマイナス極の間に位置するフィルムで、両極の接触を遮断してショートを防止すると同時に、プラス極とマイナス極間でリチウムイオンを透過させる働きをしている。

旭化成はこのセパレータで世界ナンバーワン、約50%のマーケットシェアを持つトップメーカー。すでに高い生産能力を持つが、将来的にもさらに強い需要が見込まれることから、毎年のように生産能力を増強している。
滋賀県の守山工場の年間生産能力を2007年の1億m2から2008年には1億2000万m2に、翌2009年には1億5000万m2に増強するとともに、宮崎県の日向市にも2000万m2の新工場を建設(2010年)し、リスク分散を図り、安定供給体制を構築する計画だ。

このように積極的な設備投資を実行するのは、リチウムイオン2次電池に対する非常に強いニーズが今後も継続するであろうことが背景にある。例えば、環境にやさしいハイブリッド自動車や、風力発電・太陽光発電のバックアップ用としてリチウムイオン電池への期待が高まっているのだ。
いずれも軽さと電気容量の大きさが求められることから、両者を兼ね備えたリチウムイオン電池は最適といわれており、それを支えるセパレータ「ハイポア」の需要も伸びるというわけだ。

 
 
中空糸膜を用いた大量水処理用精密ろ過膜「マイクローザ」
 

大量水処理用精密ろ過膜「マイクローザ」※クリックで画像拡大

旭化成は、1976年に中空糸膜ろ過膜モジュール「マイクローザ」事業を開始した。中空糸膜は、ストロー状の構造で、表面に形成された微細な孔で不純物をこし取る仕組みであり、これまで、自動車、エレクトロニクス、医療、食品、化学工業などの幅広い分野で用途を拡大してきた。

近年、環境意識の高まりとともに、上水・下水など大量水処理用途での需要が急拡大している。
大量水処理用途モジュールは、直径15cmの筒のなかに約6000本の中空糸が詰まっており、その強度の高さ、耐久性や耐薬品性に優れていることから世界中で高い評価を受けており、現在大量水処理用のろ過膜としては世界2位となるシェア18%を占めている。特に環境規制強化が進むアメリカでは、上水道での病原虫クリプトスポリジウムを取り除くために、この「マイクローザ」が使用され、従来の砂ろ過法から、水質が良くて省メンテナンス、省スペースな膜ろ過法への転換が進んでいる。これに伴い、アメリカで大きなシェアを占めるとともに高い評価を得ている。

一方、経済発展が進む中国では、水不足や環境汚染が深刻化するなか、今後、廃水処理の需要が大きく拡大するといわれており、旭化成では、2006年10月に中国杭州市で組立工場の稼働を開始した。
また、膜モジュールの販売にとどまらず、廃水リサイクル設備を設計、建設、保有、運転し、リサイクルされた廃水を用水として供給する排水リサイクルサービス事業を本格展開していく計画である。

 
 
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