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CONTENTS on line vol.81 2008 ★ SPRING  

特別企画
日本と世界の人々に
「パワー」を届ける
Jパワー(電源開発株式会社)[9513]

半世紀にわたり、日本国内および世界各国で発電を中心とした事業を展開してきたJパワー。電力自由化の進展、地球温暖化問題などによる近年の事業環境の変容を、新たなビジネスチャンスと捉えるJパワーの成長戦略に迫る。

国内最大の卸電気事業者として電力の安定供給に貢献

2008年3月1日、「カエンコイ2」と名付けられたタイのガス火力発電所の2号系列(73・4万kW)が運転を開始した。前年に稼働した1号系列と合わせると、総出力は146・8万kWになる。同発電所へ出資、技術提供しているのが、日本最大の卸電気事業者であるJパワー(電源開発)だ。同社の海外IPP(Independent Power Pro-ducer:独立系発電事業者)事業はこれだけにとどまらない。中国やフィリピン、米国などの6つの国と地域で展開しており、持分比率による総出力は営業運転中のもので270万kWにも上る。

Jパワーが海外IPP事業に積極的に取り組むのは、国内市場以上に高いリターンが期待できる点にある。国内電力市場は今後10年間の電力需要の伸びが年率1%程度と予測され、最大電力の伸びは期待できない。その点、経済の成長率が大きい発展途上国や電力の自由化が進む先進国は成長が見込める市場だ。実際、アジアや米国への投資は積極的である。2006年度の海外での利益は約50億円で、これは連結経常利益の約1割を占める。国内電力市場の低成長に対するJパワーの答えが海外IPP事業というわけだ。

こうした海外投資プロジェクトの原動力となるのが、国内事業で培った技術の蓄積だ。国内の電力供給の増加を目的として、1952年に政府によって設立されて以来、半世紀にわたり卸電気事業者として、東京電力(株)をはじめとする一般電気事業者に、低廉かつ安定した電力を供給してきた。
卸電気事業のコアとなるのが、石炭火力発電と水力発電だ。石炭火力発電は合計出力が約780万kWで国内最大の設備規模を、水力発電は約860万kWで国内2位のシェア19%を誇る(2007年3月末現在)。さらに、北海道・本州間、本州・四国間、本州・九州間など、一般電気事業者の供給地域をつなぐ約2400kmの基幹送電線、および周波数の異なる東西日本をつなぐ周波数変換所など、日本の電力ネットワークの要となる設備を保有している。
またJパワーでは1960年以降、世界60数カ国において電力関連のコンサルティングも実施している。こうした海外コンサルティング事業の経験と実績も、海外IPP事業を推進する大きな力となっているといえよう。

成長実現のための5つの重点的取り組みを実施

■成長実現のための5つの重点的取り組み成長実現のための5つの重点的取り組み
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発電所開発における国内最高レベルの技術力をもって、積極的に事業を展開してきたJパワーだが、前述の国内電力需要の成長鈍化や地球温暖化問題など、事業環境は大きく変化している。
こうした厳しい事業環境のなか、Jパワーが掲げるテーマが、「エネルギーと環境の共生」だ。そして、この実現に向けた具体的な施策が、次にあげる5つの重点的取り組みである。

  1. 発電設備規模の着実な増強
    コア事業である国内卸電気事業の増強として実施されているのが、磯子火力発電所新2号機と大間原子力発電所の建設という2つのプロジェクトだ。磯子火力発電所新2号機は2009年度の営業運転開始に向けて建設中で、完成すればこれまでで最もクリーンで、国内最高水準の発電効率を誇る石炭火力発電所となる。大間原子力発電所は、発電時にほとんどCO2が排出されないクリーンな発電設備として、現在着工準備中だ。どちらも「エネルギーと環境の共生」に資するプロジェクトといえるだろう。
  2. 技術革新と新たなプロジェクトの創造
    石炭火力発電を主力とするJパワーが、地球温暖化対策への布石としているのが、石炭ガス化技術の推進だ。これは、固体である石炭を気体であるガスにし、高効率の発電を実現する技術で、CO2の排出量を大幅に削減できる。地球温暖化防止と石炭火力発電を共生させる技術として、すでに北九州市でパイロット試験設備「EAGLE」が稼働しており、今後の実用化を期待したい。
  3. 事業資産の価値向上
    事業の最大の柱である卸電気事業で欠かせないのが、設備の経年劣化対応など、既存の事業資産に対する価値向上への取り組みだ。
    火力発電は発電効率の向上と一層の競争力強化を目指し、適切な設備投資とコストダウンを行う。水力発電は、保守運転のマネジメント向上や効率改善のために、水車・発電機などの主要機器をはじめとした設備更新に取り組む。
  4. グローバルな事業展開
    グローバルな事業展開の中核が、海外IPP事業だ。冒頭で述べたとおり、海外IPP事業は、電力需要の高い成長市場において、Jパワーの強みである技術力と国内発電事業で培った経験、海外コンサルティング事業の知見を最大限に活かせるフィールドといえる。
  5. 発電をコアとしたビジネスの多様化
    Jパワーはコアコンピタンスである発電を中心とした、多様な事業にも注力している。「エネルギーと環境の共生」をキーワードに、卸電気事業で培った技術と経験を活かし、石炭ビジネスや環境ビジネス、風力発電などへとバリューチェーンを広げる施策だ。

以上の5つの重点的取り組みにより、企業競争力を高めたJパワーがどう飛躍していくのか。次ページでは、2008年度のJパワーグループ経営計画のポイントを中垣喜彦代表取締役社長に聞いた。

各国の石炭火力発電の効率推移
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世界トップレベルの
発電効率と環境性能を実現

石炭火力発電のトップランナーとして、Jパワーが取り組むのが発電効率と環境保全技術の向上だ。石炭火力発電は、世界のエネルギー需要上、不可欠な存在であるが、CO2の発生量が多いという問題がある。CO2を削減するには、発生比率の低減と、発生量全体の抑制が必要だ。日本の石炭火力は、蒸気タービンの圧力や温度を超々臨界圧(USC)という極限まで上昇させる方法で、欧州やアジア諸国に比べて高い発電効率を実現している。特に、Jパワーの磯子火力発電所新1号機は国内最高水準の発電効率を誇る。高効率で発電することで、CO2の排出量を抑制する仕組みだ。
このJパワーの最高水準の技術をCO2排出量の多い米国、中国、インドの石炭火力発電すべてに適用した場合、日本のCO2総排出量約13億t(全世界の5%)に相当する削減効果があると試算されている。これらの技術の移転・普及には大きな意義があるといえるだろう。

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