産業廃棄物はセメントの主要成分!?
環境保全の重要性が叫ばれるようになって久しい。あまり知られてはいないが、セメント産業の環境保全に対する貢献度は、非常に高い。
そもそもセメントは、石灰石や粘土を原料として、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄といった元素によって作られている。そのため、製鉄所からの副産物である高炉スラグ、石炭火力発電所の石炭灰をはじめとするさまざまな産業廃棄物を、その主要成分として受け入れることが可能となっているのだ。セメント業界ではこうした特徴を活かし、かねてより他産業などで発生した廃棄物・副産物を原料・熱エネルギーの一部として積極的に活用するよう、必要な技術開発にも注力してきた。その結果、最近では、下水汚泥や一般ごみ焼却灰などの生活系廃棄物も受け入れられるようになり、最終処分場の負担軽減にも大いに貢献している。
また表のように、セメント工場自体も環境保全に対して、さまざまな貢献を果たすようになっている。
6年前倒しで目標を達成した住友大阪セメント
こうしたセメント産業の環境保全への対応を鑑み、経済産業省は2001年、『循環型社会の構築に向けたセメント産業の役割を検討する会』を設置。2010年にはセメント産業全体で、セメント1t当たりの廃棄物・副産物の利用量を400kgにする、という努力目標を設定した。
しかし、住友大阪セメントでは、この目標を6年も前倒し、2004年には完全達成。現在では1t当たり460kgを受け入れ利用している。
国内で発生する廃棄物・副産物のうち年間2億5000万tがリサイクル利用されているが、そのうち、セメント業界全体で3000万t、住友大阪セメントで580万tのリサイクル利用を行っており、最終処分量の減少など大きな成果をあげている。
廃棄物を利用するとなると、セメント自体の品質を心配する向きもあろう。しかし、住友大阪セメントでは、塩素を除去・分離回収する技術開発をはじめ、成分分析などにも力を注いでおり、高い品質を維持しながら廃棄物等のリサイクルに貢献している。
リサイクルを静脈産業として未来の柱に
現在では、リサイクル品受入拡大に向けた設備導入や技術の開発をすることで、受入対象となる廃棄物の範囲を、廃タイヤ、プラスチック、下水汚泥、建設発生土、肉骨粉の処理などへと拡充。独自技術の開発によって、フロンの安全破壊も実現している。
また廃プラスチップ類、木質チップ、廃油・再生油などは、燃料として活用。現在20数%である代替率を、40%まで向上させることを目標に技術開発を進めており、これにより今後の石炭の使用量軽減、燃料コストの削減を図っていく。
このように住友大阪セメントでは、リサイクル事業を単なる社会貢献的な位置付けにとどめてはいない。セメントというものづくりの資財を提供してきた「動脈産業」に対して、作られたモノを回収・再利用するリサイクル事業を「静脈産業」と呼び、次の100年を支える重要なビジネスの柱のひとつにしたいと考えているのである。
表:環境保全への貢献
住友大阪セメントの廃棄物リサイクルの特徴
大量処理
セメント1t当たり460kg、全社で年間約580万tもの廃棄物・副産物を受け入れており、天然資源の削減や、最終処分場の延命にも貢献している
高温焼成による無害化
セメント工場へ持ち込まれた廃棄物は、他のセメント原料とともに1,450度の高温で焼成されるため、ダイオキシン類は発生しない
二次廃棄物の発生なし
セメント工場では、各種の廃棄物・副産物の成分すべてをセメント製造用の原料、熱エネルギー源として利用するため、二次廃棄物が発生しない



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