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CONTENTS on line vol.77 2007 ★SPRING  

先駆者たちの大地

企業が起こす化学変化

旭化成株式会社[3407]
まるで複雑な化学式のような多角形を繰り返し発展を続けている旭化成。
日窒コンツェルンから分社・持ち株会社制までの足跡をたどってみる 写真館 企業の沿革旭化成の歴史

2002年に刊行された『旭化成八十年史』には、およそ日本企業が経験するであろうあらゆる企業活動が凝縮されている。水力発電、技術導入、繊維・化学事業の創業、経営危機、多角化、高度成長、先端技術、企業合併。
そしてその彼方に、ひとりの男と、歴史のなかに消えた巨大コンツェルンの姿が幻のように浮かび上がってくる。

最初の事業 水力発電

創業者 野口 遵

1896(明治29)年、旭化成の創業者、野口遵は東京帝国大学電気工学科卒業後、福島県の郡山電灯会社で水力発電事業に携わった。その後いくつかの会社を渡り歩き、1906(明治39)年に鹿児島県で曾木電気(株)を設立し、自らの事業をスタートさせた。やがて曾木電気では余剰電力が生じるようになり、かねて研究を進めていたカーバイド製造にこれを利用しようと、野口は熊本県水俣村に日本カーバイド商会を設立した。
まず水力発電所をつくり、その電力によって電気化学工業を興すという野口の生涯一貫した事業の形は、ここから始まっている。

1906年、ドイツでカーバイドと窒素を反応させて石灰窒素肥料をつくる方法が発明され、イタリアで工業生産が始まっていた。日本カーバイド商会の設立後、イタリアへ渡った野口は、電光石火のスピードでその特許権を取得。1908(明治41)年8月、曾木電気と日本カーバイド商会を合併させて日本窒素肥料(株)を設立し、他社に先駆け石灰窒素事業を開始した。しかし、当時普及していた硫安(硫酸アンモニウム)には太刀打ちできず、石灰窒素肥料は軌道に乗らなかった。そこで石灰窒素を変成させて硫安をつくる研究を開始し、1914(大正3)年、熊本県鏡町の新設工場で量産体制に入った。
同年、第一次世界大戦が勃発。硫安の市場価格は急騰した。日本窒素肥料は自家発電を行い、国内原料を利用していたので生産費が上昇することもなく、大戦中の数年間で莫大な利益を上げた。この資産が後の日窒コンツェルン形成に至る第一歩となった。

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