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| 「トップの素顔」「先駆者たちの大地」「投資基礎知識」など役立つコラムを掲載 |
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2001年5〜6月号 Vol.49 |
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話題を提供し続ける夢と楽しさを創造企業
明治製菓株式会社創業者 相馬半治 |
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創業者
相馬半治 |
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お菓子は、話題づくりである。
そしてもちろん、お菓子は商品力である。
さまざまな新技術で画期的な商品を生み出し、
優れたマーケティング戦略でヒットを放ってきた明治製菓。
その根底に流れているのは、
いつも消費者と向き合い、夢と楽しみを与えようとする、
創業以来の精神であった。
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初代の「ミルクチョコレート」1926年発売。
現在も売れ続ける超ロングセラー商品で、
「チョコレートは明治」の象徴である |
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記憶に残る数々のお菓子
ここに音符を書きたいぐらいなのだが、「チョコレートは明治」というだけで、あのおなじみのメロディが頭に浮かんでこないだろうか。チョコレートは明治製菓の主力商品であるという事実がメロディによって記憶されている。そんなふうに、いろいろな形で記憶に残っているお菓子はたくさんある。鉄腕アトムシールのマーブルチョコレート、カールおじさんのカール、チェルシー、きのこの山、果汁グミ、安室奈美恵がコマーシャルに出演して今話題のフラン。これらはいずれも明治製菓の商品である。
マーケティングという概念がアメリカから輸入されるはるか以前から、明治製菓は常に消費者に目を向けて、市場に話題を提供してきた。明治製菓のこうした傾向を端的に象徴する言葉がある。「買う気でつくれ明治」という、同社の創業以来の精神である。
明治製菓の創業は、第1次世界大戦さなかの1916年。当時、日本の製菓産業はまだまだ規模も小さく、欧州各国が東南アジア諸国に輸出していた菓子類は年間総額1,000万円に上っていたが、日本の輸出額は5万円程度しかなかった。そこに大戦が勃発し、欧州からの菓子類の供給は全面的に途絶えた。これが日本の製菓産業を発展させる契機となったのである。
1916年10月、明治製菓の前身である東京菓子株式会社が創立。続いて同年12月、後に同社と合併することになる大正製菓株式会社が、明治製糖株式会社社長の相馬半治によって創立された。明治製糖は1906年創業で、大戦の影響による砂糖景気で順調に利益をあげていた。同業他社のなかには、砂糖景気の利益を、当時最も利潤の大きかった海運事業に投資するものも多かったが、相馬は目先の利益よりも、砂糖消費の促進と国産菓子の輸出によって国家に貢献しようと、菓子事業に乗り出したのである。その設立の趣意は東京菓子株式会社にも共通していた。こうして両社は1917年3月に合併し、新しい東京菓子株式会社が誕生した。その後、売り上げの増大とともに東京という特定地域の社名が実情に即さなくなり、1924年9月、明治製菓株式会社に社名を変更した。そして1926年にココアを発売して食品事業に進出、桃やミカンの缶詰のヒットに加え、国内初の缶入りジュースの発売などで、順調に発展を続けていった。
根底に流れる精神は「買う気でつくれ明治」
合併して誕生した東京菓子株式会社は、国家への貢献に加え、食品文化の向上、栄養保健の増進、家庭での楽しみへの貢献など、消費者への奉仕を創業の精神としていた。この精神は「買う気でつくれ明治」という言葉とともに引き継がれている。顧客満足のために、新しい価値を提供する商品を追求し、それを、ネーミングからパッケージ、広告、プロモーションにいたるまで、優れたコミュニケーション手法によって市場に届ける。つまり「マーケティング全般に卓越した企業」という企業像が、現在まで一貫した明治製菓の姿といえるだろう。
宣伝やPRなどのコミュニケーション活動の重要性を、誰よりも認識していたのが創立の祖、相馬半治である。相馬は早くから新聞広告に着目し、フルに活用した。また、1921年に電車の中吊り広告を行い、1923年にはPR誌の草分け「スヰート」を創刊した。1938年には日本初の宣伝カーを起用、チョコレートやキャラメルを満載して全国津々浦々を走り回り、宣伝活動に新機軸を開いた。新聞各社はこれらの活動を記事に取り上げたため、宣伝効果はさらに増幅していったのである。
チョコレートの明治を築いたマーケティング戦略
創立から9年目の1925年、近代設備を持つ川崎工場が稼動を開始した。翌1926年、ドイツに発注していたチョコレート製造機械の据え付けが完了し、同国から製造技師のキャスパリ氏を招いて、本格的にチョコレートの製造を開始。同年9月13日、現在までロングセラーを続ける「ミルクチョコレート」を発売した。こうして日本のチョコレート工業発展の口火は切られ、「チョコレートは明治」の基盤が築かれたのである。
その後、第2次世界大戦によって、ほとんどの菓子類とともにチョコレートの製造は中断したが、1951年に「ミルクチョコレート」が復活、戦後最初の国産チョコレートとして発売された。そして昭和30年代、明治チョコレートは大きな躍進を遂げる。昭和40年までの10年間で、菓子全体の売り上げは約2倍に伸びたが、チョコレートは約7倍と大幅に伸び、明治チョコレートのシェアは38%に達してトップメーカーの地位を築き上げた。
この時期の躍進は、まず、1957年発売の「ミルクチョコレートデラックス」に始まる。それまで薄型だった板チョコは、この商品から厚型に切り替えられた。黄色を基調としたパッケージは、当時一般的だったチョコレート色の包装紙を打破した画期的なもので、これ以降、チョコレートはカラフルなパッケージが主流となった。
続いて、「問題のJpいよいよ発売」というテレビの予告広告で話題になった1959年発売の「Jpチョコレート」。これはチョコレートのなかにクリームなどを封入した新しいスタイルの商品で、デンマークから技術導入したヤンセン・プラント(J nsen Plant)の頭文字を取ったものである。この商品はブームを巻き起こして話題となり、1963年には年間22億円の売り上げを記録した。
そして、爆発的ヒットとなった1961年発売の「マーブルチョコレート」。おまけの鉄腕アトムシールや上原ゆかりのテレビコマーシャルなどが話題となり、1963年には58億円という空前の売り上げを記録した。
新技術で画期的な商品を次々に開発
明治製菓は「チョコレートは明治」という強力な基盤を固める一方で、冒頭にあげたようにいくつもの画期的な商品をヒットさせ、新分野を開拓している。
まず67年、チョコレートの新分野商品として「チョコバー」を発売、丸かじりタイプという新しいスタイルを提案した。そして68年に発売され爆発的にヒットした「カール」。当時、スナック菓子に注目していた明治製菓は、他社に先駆けてエクストルーダー(膨化成型機)を導入してコーンパフの開発に成功、「カール」は新分野を切り開く画期的商品となった。独特な食感のグミもブームとなった。明治製菓は88年にグミ史上のエポックといえる「果汁グミ」シリーズを発売して一大ブームを巻き起こしている。
90年代には新タイプのチョコレートを次々に発売、なかでも反響を呼んだのが、93年に冬期限定として発売された「メルティーキッス」である。これはチョコレート史上初の期間限定商品で、「口溶けチョコ」という新ジャンルを切り開く画期的商品となった。
抗生物質を世界レベルに押し上げた独創的な開発力
「お菓子の明治」「チョコレートの明治」と親しまれてきた明治製菓は、1946年、戦後の復興と発展を期して薬品事業に進出、医薬複合企業へのスタートを切った。
まず、菓子・食品で培った発酵技術を生かして抗生物質「ペニシリン」の製造を開始。これを皮切りに1950年に結核治療薬「ストレプトマイシン」、1958年には国産初の抗生物質「カナマイシン」を開発して自社技術を確立した。その後、「パニマイシン」「ホスミシン」「ミオカマイシン」「メイセリン」などに続いて、90年には国内で初めてMRSA感染症に適応が認められた「ハベカシン」を発売。94年には、グラム陽性菌、特に黄色ブドウ球菌に対する抗菌力を増強させた経口セフェム系抗生物質製剤「メイアクト」を開発して発売、グローバルな事業活動を本格化させ、原末生産では世界屈指の規模を有するようになった。こうして独創的な新薬を次々に開発してきた明治製菓は、現在では世界でもトップクラスの抗生物質のメーカーとして認められている。
一方、抗生物質以外の分野では、88年、抗癌剤「テラルビシン」、抗不安剤「メイラックス」、90年には脳機能改善剤「アポデール」、そして96年には抗アレルギー剤「エバステル」などを相次いで発売した。うつ病、強迫性障害の治療薬「デプロメール」は国内初の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)で、有効性・安全性の面で治療に大きく貢献した。
また、うがい薬でおなじみの「イソジン」群も発売以来40年の長きにわたり圧倒的地位を確保している。
薬品事業は、現在では明治製菓を支える一方の柱として、同社の売り上げの約40%を担うまでになっている。「買う気でつくれ明治」という標語を掲げ、消費者の満足を第一に標榜してきた同社が、今後、国際的な総合ライフ・インダストリーとして、世界を舞台にどんな活躍を見せてくれるか、また食薬兼営という強みを生かして、どのような満足を私たちに与えてくれるか、注目していきたい。
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