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印刷の高速化、環境への配慮に
対応した製品開発の推進
千葉県野田市にある中里工業団地に立地する東京工場は、4万126m2の敷地に1万1,661m2の建築面積を誇る。従業員は、技術職や営業職のスタッフを含め約280名。新聞用インキ、各種オフセットインキ、段ボール用フレキソインキ、グラビアインキなど約2,200トンを月産し、同社全生産量の約50%を担う東日本最大の生産拠点だ。
同工場の敷地内にある第一研究部では、新聞用や書籍・商業用のオフセット印刷に使用するペースト系インキを中心に研究開発を進めている。
大きな研究開発テーマとして、(1)インキ性能の向上、(2)環境対応型インキの開発、(3)低コストを実現する原材料の開発の3つがあげられている。
「インキ性能の向上」にトッププライオリティを置き、特に近年における印刷の高速化に対応するインキの開発を推進。乾燥スピードが速く、印刷適性に優れる樹脂ワニスの開発に注力しているという。
また、「環境対応型インキの開発」というテーマでは、大豆油などの植物油でできているノンVOCインキや印刷工程でのエネルギー使用の削減ができる低温乾燥型インキなどの環境配慮型インキを開発。製品特性だけでなく、印刷工程も含めた環境への負荷低減を実現している。
一方、「低コストを実現する原材料の開発」というテーマでは、新たな原材料のリサーチや開発を進め、安価な代替原料を用いながら、かつ既存のクオリティを維持、向上させた製品開発を行っている。原価が削減できても品質の低下を招いてしまったのでは、顧客ニーズを満たすことはできない。そのため同研究部では、海外も含め、可能性のある原材料を集めて吟味し、より安価なものを選定。製品のコストを意識しながら原材料を開発することで、品質の向上と並行してコストダウンが図れるという。
さらに、生産プロセスや生産設備の見直し、機械化による省力化といったさまざまな改善の積み重ねによるコストダウンも実施。設備・資材の両輪でコストダウンを実現中である。単価下落という市場環境でも、利幅を堅持しつづけている。
顧客ニーズの多様化と市場環境の変化により、ますます競争の激化が予想されるインキ業界にあって、こうした研究成果や地道な取り組みが、同社の競争優位性を支えているといえそうだ。
羽生工場は藍・墨2色の
オフセットインキに特化した工場
さらに、埼玉県羽生市にある羽生工場を訪ねた。小松台工業団地の一角に位置する同工場は、建築面積5,930m2の6階建ての施設で、何と十数名の従業員で運営管理されている。
羽生工場は藍と墨だけに特化した工場である。
新聞用および商業用などのオフセットインキの製品生産と、出荷後、他工場で製品化されるインキのもとであるベースインキ(他工場仕掛品)の製造を行っており、生産量は年間5,000トン強と同社全生産量の約10分の1を担っている。
インキは基本的に、色彩のもととなる顔料、それを安定・定着させるワニス(樹脂+原料油)、それぞれのインキの特性を作り出す助剤(水や溶剤、補助剤など)を混合して作られる。
同じ色であっても、印刷環境や用途によって、インキに求められる性質は変わってくる。同工場でも数種類のベースインキを生産し、さらにさまざまな助剤を加えることで、藍・墨ともにそれぞれ多種多様なインキを生産している。
生産工程の徹底した合理化と
環境に配慮したシステムを実現
同工場で特筆すべき点は、自動化をベースとして、徹底的な生産プロセスの合理化を実現していることだ。工場の上階から流れるように原材料を仕込み、1階で製品充填する作業手順で、各工程の自動化に成功している。
また新たな取り組みのひとつとして、製品の仕上げ工程における補正レス化を進め、材料・作業ともにロスを削減し、さらなる効率化を図っている。
さらに、工程短縮の実現により在庫の削減にも注力。眼前にある目標のひとつは、原材料の投入から納品まで、現在に比べ半減することにあるという。
また、同工場を含む主要4工場で認証を取得しているISO14001をベースに、徹底した廃棄物の削減にも取り組んでいる。購入原材料の荷姿を、再利用可能なフレコンバッグやコンテナに変えたほか、使用済みドラム缶のリユースを実施。収集場にあった廃棄物の量は、一般家庭のゴミ収集場かと見間違うほどにきわめて少なかった。
徹底した合理化と環境負荷低減を実現する同工場は、ひとつの理想的な生産工場の完成形であるといえそうだ。
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